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エコノミスト 神谷尚志のコラム

Vol.215 2017年2月2日 米国新大統領の政策理念

トランプ米大統領就任演説で、政策理念はかなりはっきりしました。主なところは次の通りです。
「米国第一」
「貿易や税制、移民制度、外交などのあらゆる決定は、米国の労働者や家族の利益になるように実施する。」
「(自国産業の)保護こそが素晴らしい繁栄と強さにつながる。」
「われわれが従うルールは『米国製品を買い、米国人を雇う』の二つだ。」

この理念の狙いは、トランプ米大統領の重要な支持層とされる中西部の若年白人労働者層の雇用環境を改善させることだと思われます。
そしてトランプ米大統領は、問題の元凶は、企業の海外移転による雇用の流出、中国やメキシコの製品が米国の雇用を奪っていることと考えているようです。

次のグラフは米国の国別貿易収支のGDP比です。米国にとって貿易収支の赤字額が特に大きい国は、中国、日本、ドイツ、メキシコの4ヵ国ですが、対中国貿易収支赤字は異常なぐらい拡大しているように見えます。

米国の貿易収支のGDP比

[図]

次に、雇用者報酬と企業収益の関係についても特徴的なことが起きています。

日本のケースについて見てみます。
日本の企業収益と人件費(雇用者報酬など)のグラフをご覧ください。
企業収益は伸びても人件費が伸びていないことがわかります。日本の労働者が働いて企業収益を押し上げたのではないからです。
例えば、日本の企業が海外に工場を作り企業収益を高める場合、その労働報酬は現地の労働者に支払われ、日本国内の従業員には支払われないということです。

日本企業の経常利益と人件費

[図]

同様なことが米国でも起きています。米国の多国籍企業は「世界中から高品質・廉価の部品を集め、最も安く組み立てられるところで組み立て、最も税率が低いところに利益をプールする」傾向があります。企業としては極めて合理的な行動ですが、米国の企業収益が伸びる割には雇用者報酬が増加しない状況となっています。

トランプ米大統領の理念やその背景は上記のようなことだと思われますが、その理念や認識がすべて正しいとは限りませんし、その理念通りに事が運ぶかどうかもわかりません。

また、大統領選期間中に提唱していた「減税」「インフラ投資」については、就任演説では、ほとんど言及がありませんでした。財政規律を重んじる共和党議員と折り合いがつかないからでしょう。

トランプ米大統領の政策理念が、米国や世界の証券・金融市場にどういう影響を与えていくかまだわかりませんが、大きな変化をもたらす可能性がありますので注意していく必要があるでしょう。

  • 本資料は投資家の皆様にT&Dアセットマネジメントが情報提供を目的として作成したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。本資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等により作成したものですが、その正確性・完全性を保証するものではありません。また、本資料に記載された意見等は、本資料作成日時点の資料作成者の見解です。将来予告なく変更されることがあります。投資信託の取得をご希望の場合は、下記のご留意事項を必ずご確認いただき、ご自身でご判断ください。

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著者: 神谷尚志(かみやたかし)
T&Dアセットマネジメント株式会社 チーフエコノミスト

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