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エコノミスト 神谷尚志のコラム
Vol.1 2008年6月19日 米ISM指数の異変
今回を初めとして、経済・市況に関するコラムを書いていくことになりました。私が、経済や金融証券市場の事象について、気づいたことを表すものです。モットーは「A picture is worth a thousand words.(一目瞭然)」。そして、できるだけコンパクトにすることです。注意していただきたいことは、これは単なるコラムで、アドバイスでないこと、また、一つの事象ですべてを判断するのは危険だということです。
第1回は、「米ISM指数の異変」です。
ISM指数は、ISM(Institute for Supply Management:米国供給管理協会)が企業にアンケート調査を実施して作成する景況インデックスです。
- ・アンケート項目は、生産、受注、雇用、在庫、価格(仕入価格)などです
- ・各項目別指数とそれらを総合した総合指数があり、各指数とも50を良し悪しを測る分岐点としています。
- ・この指数がマーケットで注目されるのは、
- (1)毎月第1営業日に前月の調査結果が発表されるという速報性。
- (2)実質GDP成長率と連動性が高く、景気動向を的確に表す傾向がある。などの理由からです。
ISM指数は、その速報性、発表の頻度(GDPは四半期毎)、企業側の意識を表していること、景気動向を的確に表す傾向があることなどから、当コラムでも、今後頻繁に取り上げることになります。
米ISM製造業総合指数と実質GDP増加率
ISM製造業総合指数は、実質GDP成長率と連動性が高い
さて、今回の本題ですが、ISM指数に異変が起きています。これまで長い間、ISM価格指数と総合指数はほぼ連動してきたのですが、2007年中頃からこの傾向が崩れているのです。 一般的に、景気がいいと価格に強気になり、景気が弱いと価格にも弱気になる、というように、景気に対する意識と価格に対する意識は同調します。ところが、今回は、景気動向を示す総合指数が軟調な一方、価格指数は上昇しているのです。その背景として米国で住宅価格の下落と資源価格の上昇が同居していることがあげられます。言い換えれば、米国住宅バブルの崩壊と新興国の台頭が起きているということになるでしょう。
米国FED(米連邦準備制度)はインフレ期待が高まらないように利上げをしたいだろうと思えますが、一方で、住宅不況と信用リスク不安があるなかでは、利下げも検討しなくてはならないでしょう。ISM指数の総合指数と価格指数はこのジレンマをよく表しています。
米ISM製造業指数
ISM製造業指数は、景気動向を示す総合指数が軟調な一方、価格指数は上昇している
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